お金を増やす話が、なぜこんなにも遠く感じてしまうのか
お金を増やしたい。
この気持ちは、誰にとっても自然なものだ。
それでも投資の話になると、急に距離を感じる。
専門用語が増え、相場予測が飛び交い、短期の上下に一喜一憂する世界。
気づけば「自分には向いていない」と、思考を止めてしまう人も多い。
だが、世界で最も成功した投資家の一人は、
驚くほどシンプルな方法で、長年にわたり資産を増やしてきた。
ウォーレン・バフェットは、何をしてきたのか
その人物が、ウォーレン・バフェットだ。
彼は相場を予測し続けた人ではない。
派手な売買で利益を積み上げた人でもない。
彼が一貫してやってきたことは、たったこれだけだ。
理解できるビジネスに投資し、
適正な価格で買い、
長い時間をかけて持ち続ける。
この原則を、60年以上ほとんど変えていない。
個別銘柄は、時代とともに確かに変わってきた
バフェットの投資は一貫している。
ただし、保有してきた個別銘柄は、時代とともに変化している。
若い頃は、帳簿上の価値よりも安く放置された企業を拾う投資をしていた。
数字重視の、いわゆる割安株投資だ。
その後、チャーリー・マンガーとの出会いをきっかけに転換が起きる。
安い会社より、素晴らしい会社を適正価格で持ち続ける。
この思想のもとで選ばれたのが、
Coca-Cola
American Express
といった、強いブランドと競争優位を持つ企業だった。
さらに時代が進み、テクノロジー企業にも目を向ける。
長年敬遠していた分野で、最大の投資先となったのが
Apple
だった。
AppleはIT企業ではなく、強力なブランドと顧客の囲い込みを持つ消費者ビジネス。
バフェットは、現代版のコカ・コーラとして捉えていた。
Appleを売却したというニュースの、本当の意味
最近、バフェットがApple株を一部売却したというニュースが話題になった。
この事実だけを見ると、投資方針を変えたようにも見える。
だが実態は違う。
Appleを売った理由は、企業の質が落ちたからではない。
成功しすぎて、ポートフォリオに占める比率が大きくなりすぎたからだ。
投資において、勝ち続けた銘柄を一部調整するのは合理的な判断だ。
成長期を終え、安定収益のフェーズに入った企業に対し、
資産配分を見直したに過ぎない。
一方で、コカ・コーラは今も中核保有のままだ。
ここに、バフェットの哲学がはっきりと表れている。
では、今どんな投資方法が現実的なのか
ここからが、私たちにとって重要な部分だ。
バフェット自身が一般投資家に勧めているのは、
S&P500などの指数に連動する投資だ。
優れた企業を選び続けるのは難しい。
ならば、優れた企業群そのものを保有すればいい。
ETFや投資信託は、
分散、低コスト、長期保有という条件を自然に満たしてくれる。
個別株を選ぶなら、
生活や習慣に深く組み込まれ、簡単には代替されない企業を少量持つ。
ただし、一点集中は避ける。
重要なのは、すべてを一生持ち続けることではない。
信念は保ちつつ、配分は時代に合わせて調整する。
これが、現代的な長期投資の姿だ。
量よりも、判断の質が問われる時代へ
過去を振り返ると、
個別株が主役だった時代もあれば、
指数投資が最も成果を出した時代もある。
ただし、どの時代にも共通しているのは、
市場から退場しなかった人が、最終的に勝っているという事実だ。
投資は知識量の勝負ではない。
姿勢と継続力、そして判断の質の積み重ねだ。
これからの自分の投資に、どう向き合うか
バフェットのやり方を、そのまま真似る必要はない。
だが、学ぶべき本質ははっきりしている。
分かるものに投資すること。
短期の雑音に振り回されないこと。
時間を最大の武器にすること。
この三つだけでも、投資の景色は大きく変わる。
読者への余白として
投資で一番難しいのは、
何を買うかではなく、どうあり続けるかだ。
焦らず、比べず、やめない。
それは投資だけでなく、仕事や人生にも通じている。
もし今日、見直すとしたら、
銘柄ではなく、自分の資産配分や時間の使い方かもしれない。
お金は、正しい判断と時間の先で、静かに増えていく。


